以前にこのような記事を書きました。

この記事は↑の記事の続きとなります。具体的な改造手順について、もう少し掘り下げて書いてみようと思います。
僕はLenovoのThinkPad X250というモデルの中古品を改造して使用しています。
具体的には、以下の作業を行っています。
- 液晶パネルをHDのTN液晶からFHDのIPS液晶へ交換
- 500GBのHDDを256GBのSSDに換装
費用的にもまずまず安くできますし、何より体験として面白いので、やってみたい方にはぜひ挑戦していただきたいと思います。
ヨノイ
最近ではノートPCも安いので、同じ値段で新品のモデルが買えたりしそうですが、「ノートPCを分解してパーツ交換する」という体験はそれ自体が結構楽しめます。
その辺の面白さを含めて考えると、挑戦してみる価値はあるのではないかと思います。
また、成功すれば性能的にもそこそこ戦えるものが手元に残るので、実用性にも繋がります。(失敗しなければですが…。)
この記事では作業の実際の内容について、ThinkPadの内部写真を参照しながら説明しています。
こちらの記事を作成した時点ではすでに改造は終了しているので、画像は実際の作業の再現になることをお断りしておきます。
また、分解交換はやり方を間違うとPCが壊れてしまうこともありますので、作業を行うに当たっては自己責任でよろしくお願いいたします。
ヨノイ
目次
ThinkPadのBIOSから内部バッテリーを無効化する
作業の前に、まずThinkPad X250の内部バッテリーを無効化します。
内蔵バッテリーを完全に無効化しておかない限り、電源はオフでも内部的には電気が通っている状態なので、分解したりパーツを外したときに壊れてしまうことがあります。
ヨノイ
ThinkPad X250にはフロントバッテリーとリアバッテリーが搭載されており、リアバッテリーは設計上、着脱交換が可能です。
フロントバッテリーが内蔵バッテリーに当たり、こちらをBIOSで無効化します。
以下、手順です。
ThinkPad X250のリアバッテリーを外す
まず、ThinkPad X250のリアバッテリーを外します。
背面はこんな感じ。
リアバッテリーを外します。
2箇所レバーを引っ張って外しますが、バッテリーと本体がぴったりすぎて若干外しにくいです。頑張って外します。
BIOSを起動して内蔵バッテリー(フロントバッテリー)を無効化する
次に、内蔵バッテリーを無効化します。
ACアダプタを本体から外して、電源が内蔵バッテリーのみの状態で起動します。
Windowsを再起動し、画面が暗くなったらF1キーを連打してBIOSを起動します。
こちらがBIOS画面。
「Main」タブから左右キーで「Config」タブへ移動します。
矢印キーで「Power」を選び、Enterキーを押します。
「Disable Built-in Buttery」(内蔵バッテリーを無効化)を選択し、Enterキーを押します。
「Yes」でEnterキーを押すと、シャットダウンします。
これでフロントバッテリーは無効化され、本体の電源ボタンを押しても起動しなくなります。
ちなみにフロントバッテリーの無効化はACアダプタでコンセントから給電すると解除されます。
ThinkPad X250の液晶画面をFHDディスプレイに交換する
ここから先の作業は、Lenovoが公開している「ハードウェア保守マニュアル」の内容に沿って進めていきます。
ThinkPad X250 ハードウェア保守マニュアル ― Lenovo
本体の内蔵バッテリーを無効化したら液晶画面を外します。
まず最初に、液晶のベゼルを外していきます。
ベゼルの内側に厚手の紙などを差し込んでベゼルを浮かせたら、指を入れてゆっくり内側からベゼルを外していきます。
外しました。
僕がやると、なぜかここで折れた小さなツメがポロポロ出てきます。優しくやりましょう。
そしてこちらが交換後のFHDです。
折れたツメが転がってます。
液晶ディスプレイはこちらの製品ですね。
そしてこちらがX250に最初に内蔵されていた交換前のTN液晶です。
液晶はコネクタでこのように繋がっています。
テープのほこりが見苦しくてすみません。
テープは液晶本体に固定するためにぴっちり貼り付けられていますが、交換の際にはがす必要があります。
テープをはがした後は、コネクタを外しますが、コネクタにはストッパーの金具が付いています。
いきなり引き抜くとコネクタが壊れるので、まずストッパーを上げてから、コネクタを外します。
外すとこんな感じ。
液晶ディスプレイを重ねるとこんな感じ。
上がもともと本体に付属していたTNディスプレイで、下が交換後のFHDディスプレイ。
当たり前ですが、端子の形状などは変わりません。
交換が終わったら、ディスプレイを元の位置に納めて、ベゼルをはめ直して終了です。
ThinkPad X250のHDDをSSDへ交換する
こちらの作業も先のハードウェア保守マニュアルに沿って進めます。
交換したSSDはこちらの製品です。
SSDは2.5インチの7mmか9mm厚のSSDが適合するようです。
また、作業前には交換後のOSのインストール手順をよくイメージしておきましょう。
交換後に使用する回復ドライブなどインストールメディアは事前に用意しておく必要があります。
それでは、本体に付属しているHDDをSSDへと換装するための作業手順ですが、交換するためにはまず裏蓋を開ける必要があります。
再びThinkPad X250本体の裏面です。
赤く枠囲みされている箇所がネジの箇所です。精密ドライバーで開けていきます。
本体内部はこんな感じです。
上が液晶側で下が本体側、画像は今使用している状態ですのでHDDをSSDに換装した後ですね。
本体の左下に見える大きめの四角がSSDです。
拡大するとこんな感じです。
もともとはHDDが嵌まっていた場所ですので、初期状態だとこんな感じ。
この銀紙でくるまれているのがHDDです。ですので、初めて裏蓋を開けたらこういった光景が目に入るはずです。
ちなみにHDD本体はこんな感じ。
外すと裏側に詳細が書いてありますね。500GBのHDDだった模様。
画像ではいきなりHDDを外していますが、固定されているHDDを外すには手順があります。
交換作業を行う場合は、赤枠の箇所がネジで固定されているので、それをまず外す必要があります。
SSD換装後の画像でHDDの交換を説明するという、やや分かりづらい感じになっていますが、手順は同じです。
ネジを外すとこうなります。
SSD本体がX250本体から外れます。
SSDは周囲を樹脂製のパーツで固定されているので、それを外してみます。
SSDの側面に穴が空いているのがわかりますが、その穴にパーツの突起がはまることでSSD本体を固定します。
手で簡単に外せます。
さらに外すとこんな感じ。
内輪側に突起があるのがわかるかと思います。
HDDからSSDに交換する場合は、HDDに装着されたこのパーツをまず外し、交換するSDDにはめ込む流れになります。
さらにSSDのコネクタです。
ケーブルが本体の後ろに回ってしまい繋がってる感がわかりづらいですが、X250本体とSSDを繋ぐコネクタです。
交換前のHDDもこのようなかたちで繫がっています。
外します。
コネクタを外すとこのような感じです。
ここまで、SSD交換後の状態からSSDを外すまでを見てきましたが、実際にHDDをSSDに交換する場合も流れは同様です。
- 固定パーツが装着されたHDDがX250本体にセットされているのでネジを外す
- 固定パーツからHDDを外す
- コネクタをHDDから抜く
- コネクタを交換するSSDに挿す
- 固定パーツをSSDに装着する
- 固定パーツごとHDDがあった位置にセットし、ネジで固定する
セットできたら裏蓋を閉めて交換完了です。
ThinkPadの改造は手順通りにやれば難しくない(はず)
ThinkPadの改造というと何だかマニアックで難しく聞こえます。
実際のところ、かなりギークな趣味だとは思いますが、ネットで検索してみると意外に挑戦している方が多いことがわかります。
その分、先達が手順をまとめてブログなどで公開してくれていますし、記事数もかなり多いので、環境としては結構整っているんじゃないかと思います。
たとえば僕が使用しているThinkPad X250などについても、Googleで「X250 改造」と検索するだけでかなりの情報が出てきます。
参照可能な情報はかなり多いですし、使用したパーツの違いなどでも比較できるのでとても参考になります。
最近のモデルになるほど改造の難易度は上がる
ThinkPadはノートPCでありつつ保守性が考慮されており、設計のレベルでパーツの交換などがしやすいように作られています。
あわせて保守マニュアルが一般にも公開されており、保守パーツも市場に流通しているので、ノートPCをいじってみたい人にとってはうってつけのPCです。
ThinkPadは伝統的に保守性を維持されているものの、最近では薄さや軽さが求められたことから、モデルによってはやや保守性が犠牲になっています。
たとえばThinkPad Xシリーズの2011年、2012年のモデルであるX220、X230は裏蓋を外すことなくボディの前面からキーボードを交換することが可能でした。
しかし後続機種のX240あたりからは、裏蓋を開けた上で手前に配置されたたくさんのパーツを外していかなければアクセスできなくなっています。
このように設計の変更に伴い、パーツ交換が作業として難易度の高いものへと変わってしまっています。
X250はSSD換装、液晶パネル交換までが無難
たとえば僕の使用しているX250の場合、換装の経験がない方であれば、SSD換装と液晶パネルの交換くらいまでが無難ではないかと思います。
事例がたくさんネットにアップされているというのと、実際に自分でやってみて、手順通りやればどうにかなったというのが理由です。
このあたりのモデルからキーボード交換の難易度は上がっていますので、どうしても交換してみたい方は、事前に情報収集をよくしておいた方がいいと思います。
ThinkPadの中古品で状態の良いものをいかにして手に入れるか
専門ショップで事前に相場をチェックしておく
ThinkPadの中古を取り扱っているネットショップとして有名なのはBe-Stockさんではないかと思います。
状態も含めてスペックの詳細な説明を掲載してくれていますので、こちらで何となく相場的なものは把握できるのではないかと思います。
入れ替わりも早いので、こまめにチェックしておくのが推奨です。
他にもネットショップでThinkPadの中古を取り扱っている店は沢山あるので、ググってチェックしてみるのがおすすめです。
ジャンクワールドYahoo!店【Yahoo!ショッピング店】
都内にお住まいの方であれば、秋葉原のジャンク街などを自分の目で見て回るのもよいかと思います。
狙い目はリースアップ品が放出される時期
ThinkPadは本来ビジネスで使用されることの多い製品ですので、発売から一定期間が経過した頃に大量のリースアップ品が市場に放出されます。
1月から3月頃にかけて在庫が増えていきますので、ネットショップの状況をこまめにチェックしておきましょう。
また、在庫が増えれば値段も下がります。
気になる商品は状態を中古ショップに問い合わせるのがオススメ
やはり中古ですので、状態や使用感は気になるところです。
ショップによっては、メールで問い合わせれば詳細な写真を送ってくれるところもあります。
商品ページで状態が「A」となっていても、こちらのイメージする状態と違う場合もあります。
特に外装の使用感などが気になる場合は、あらかじめ問い合わせすることをおすすめします。
改造の難易度が高いパーツは状態やスペックにこだわるべき
これはThinkPadの特徴なのですが、キートップがすぐに摩耗してテカってきます。
そのため、ThinkPadの中古品は使用感が強く出る傾向があります。
モデルによってはキーボードの交換は大変なので、気になる方は最初から状態のよいものにこだわっておいた方がいいと思います。
同じ理由から、キーボードバックライトの有無も同様です。
僕は自分のモデルにキーボードバックライトがないことを少し後悔しているので、ここは強く促しておきます。
また外装面に関しても、ThinkPadはビジネスでの使用が多いため、痛みがあるものがそこそこ多いです。
本体割れ、欠けがあれば注記に記載されるのが普通ですが、見落とすことのないよう注意が必要です。
リースアップ品の中にはまっさらなほぼ未使用品もある
僕が当たったのがこれですね。
天板に管理番号を貼っていたようなシール跡があったのでリースアップ品だと思われますが、外装的にほぼピカピカの新品でした。
おそらく監視用端末としてサーバー室あたりに据え置きにされていたか、もしくは予備分としてリースされて結果ほぼ使われなかったものではないかと思います。
入念に問い合わせをして選んだとかそういうわけではなかったので、まったくのラッキーでした。
改造時の注意点
作業前に先達の残した情報を穴があくまで読んでおく
偉大なる先人の記録は財産ですので、ググりまくってよく読んでおいた方がよいと思います。
手順を誤るとパーツを壊してしまったり、起動しなくなったりすることもあります。
特に内蔵バッテリーを搭載しているので、BIOSからオフにしておくなどの手順は飛ばすと危険です。
必要なものは間違いなく調達しておく
バラすので、いざ作業となったときモノがないと焦ります。
特にクリーンインストールをする場合はインストールメディアの用意は必須です。
USBメモリにも必要容量があるため、手元にあるもので足りない場合は事前に調達しておく必要があります。
また、ドライバーもきちんとした精密ドライバーを用意しておいた方がよいと思います。
よくないドライバーだと、ネジ山を潰してしまうことがあるので要注意です。
SSD交換はOSのインストール手順を確かなものにしておく
この辺をフワッとした感じでやって、結構手こずりました。
新たに調達したSSDにリカバリしようとしたのですがインストールできず、しばらく詰まりました。
原因は元のHDDと新しいSSDの容量が違うためだったのですが、原因特定のためにバラした本体を一旦元に戻し、手順をもう一度確認して、を何度も繰り返すことになってしまいました。
結構焦ります。
結局、インストールメディアをWindows10の公式からダウンロードして、クリーンインストールしました。
上手くいかなければ交換前の状態に戻すしかなくなるので、この辺も事前リサーチは必須です。
まとめ:事前の準備に時間を取るべし
実体験からいっても、間違いなく事前の準備が最大級に大事です。
適当にやるとお金と時間が無駄になったりしますので、正しい知識と慎重さは必要です。
改造の手順を紹介してくれているサイトで勉強しよう
改造の実績のある方のサイトでひたすら読みまくって、知識とモチベーションを上げるのは重要です。
以下に紹介するサイトは自分が作業する際に参考にさせてもらった、おすすめのサイトです。
≫ ThinkPad X250 SSD換装・HDD交換のやり方【動画あり】 | ThinkPad X250を使い倒す シンクパッドのレビュー・カスタマイズ
≫ ThinkPad X250の液晶ディスプレイをFHDに換装してみた話(Chrome速報)
せっかくのマシンなので10年は使おう
日々進化しているPCですが、およそ4年前のモデルとはいえ性能的にはまだまだ使えると思っています。
実際に僕が使っていても、特別重い作業をしない限り挙動にストレスを感じることはありません。
coreiシリーズの世代差を真面目に説明するとなると難しくなりますが、ネットで調べものをしてブログを書く程度なら性能的にも十分です。
換装したIPSディスプレイとSSDが快適度を向上させているのも大きいですね。
またThinkPadは設計的にディスプレイが180度開くので、寝っ転がっていじるのにも最適ですし、ボディも頑強なので開いたまま片手で持ち上げてもたわんだりは一切ありません。
バックライトキーボードが載ってないのだけが悔やまれます。
何よりやはり、自分が手を加えたというのが愛着的に大きいのだと思います。
どこか壊れてもまたパーツを換えれば延命できるはず、という謎の自信も身につきますし。
ThinkPadの改造についてこの記事で気になった方は、ぜひチャレンジしてみていただければと思います。