Fireタブレットを購入した人のなかには、Fireタブレットの画面を動画として撮影したいという人もいるかと思います。
しかしFire OS 7以前では、OSの仕様により内部音声の録音ができないため、いったんスピーカーに出した音を外部マイクで録音するという方法でしか音声付きの録画ができません。
当然、雑音が混じった低品質な音声となってしまうため、動画素材として利用するのはなかなか微妙です。
そこで本記事では内部音声をクリアに録音するために、Fireタブレットの録画と録音をそれぞれ同時に別録りする方法を紹介します。
それぞれの素材をあとで動画編集ソフト上で同期させることで、擬似的に内部音声付き録画を再現できます。
- Amazonアプリ(またはGoogle Playアプリ)の録画アプリで画像を録画する。
- 同時にBluetoothでPCへ音声を出力し、PC側で内部音声として録音する
- 動画編集ソフトで動画と音声を合体させる
なお、本記事中で「PC」の記載は「Windows10」を搭載のPCを指します。
現時点でWindows11対応のPCが手元にないため検証はできていませんが、おそらく同様の手順で録画・録音は可能かと思います。
知っておきたいFireタブレットの録画に関する前提
まず最初に、Fireタブレットの画面を録画するために知っておきたい前提知識について解説します。
【前提①】Fireタブレットは内部音声つきの動画は録画できない
冒頭でも触れたように、Fire OS 7を搭載する現行のFireタブレットでは、内部音声つきの動画は撮影できません。
Amazonアプリストアにも「録音可能」とうたう録画アプリはいくつかあるようですが、これはいったんスピーカーを通して鳴らされた音を外部マイクで拾うかたちでの録音であり、いうまでもなく音質はよくありません。
- 音声データのまま保存するので音がきれい
- Fire OS 7以前では録音に非対応
- 本体の外部マイクを通して録音
- スピーカーを通して鳴らされた音を録音するので雑音が入るなど音が汚い
そもそもなぜ内部音声が録音できないのかというと、おそらくこれはAndroidのポリシーによるもので、AndroidベースのOSであるFire OSもその影響を受けているためと思われます。
ちなみにAndroidで内部音声の録音が許可されたのはAndroid 10になってからで、Android 9がベースになっているFire OS 7は、Android 9と同様に内部音声が録音できない仕様になっています。

ちなみにこの制限はGoogle Playのアプリであっても同様のため、FireタブレットにGoogle Playから画面録画アプリを入れても、内部音声の録音はできません。
【前提②】ゲームアプリはゲームモードがオンだと録画できない
ゲーム系のアプリを録画する場合は、ゲームモードをオフにしてください。
Fireタブレットのゲームモードをオンのまま録画しようとすると、本編突入前に録画が強制的に停止されてしまいます。
ゲームモードのオンとオフは設定画面から切り替えられます。
ホーム画面の「設定」>「アプリと通知」>「ゲームモード」>オン・オフ
Fireタブレットの録音でインストールが必要なソフトウェア
本記事で紹介する方法では、Fireタブレットの動画と音声を別録りして、最後に動画編集ソフトで合成します。
記事冒頭でも解説したように、Fireタブレットは内部音声の録音ができないため、Fireタブレットの音声はBluetoothでいったんPCへ飛ばし、PCの音声としてPCで内部録音します。
そのため、本記事の方法では動画と音声を合成できる動画編集ソフトウェアと、Windows上で内部音声を録音できるソフトウェアが必要になります。
具体的には、下記の無料ソフトウェアを使用します。
- VideoProc Vlogger(動画編集用)
- Audacity(内部音声録音用・プライバシーポリシーの改悪には要注意)
VideoProc Vlogger(ビデオプロック ブイロガー)は無料の動画編集用ソフトで、動画と音声の合成はこれ1本でOKです。

またAudacity(オーダシティ)は内部音声の録音で使用します。
Audacityは操作もシンプルで音質も悪くないため機能面では非常におすすめしたいソフトウェアですが、プライバシーポリシーの改悪により、かなり批判が集まっています。

音声データを収集しない派生プロジェクト版の話も進んでいるようなので、気になる方はそちらを探して使ってみるのもよいかと思います。
Fireタブレットで内部音声付きで録画する方法
ここからは、Fireタブレットを内部音声付きで動画にする方法を解説していきます。
繰り返しにはなりますが、本記事では「録画した動画とPCで内部録音した音声をあとから編集ソフトで合体させる」という方法をとります。
【手順①】Fireタブレットに画面録画アプリをインストールする
Fireタブレットの画面録画はアプリを使って行います。
音声の録音については、各アプリの設定で外部マイクを用いた録音しか選べないようになっているかと思いますが、そのままでOKです。
本記事ではAmazonアプリストアから、Screen Video Recorderを使って録画を行います。
Screen Video Recorderは有償ソフトなので、無料ソフトが使いたいという方は、Google Play(またはAurora Store)をインストールして下記のアプリを使うなどしてください。


【手順②】FireタブレットとPCをBluetoothでペアリングする
FireタブレットとPCをBluetoothで接続します。
両方のBluetoothをオンにしたうえでFireタブレットをPC側で認識して、ペアリングします。
Windows10では下記の手順でペアリングできます。
- FireタブレットとPCのBluetoothをオンにする
- 通知からPCのBluetoothを右クリックして「Bluetoothとその他のデバイス」を開く
- 「Bluetoothまたはその他のデバイスを追加する」より「Bluetooth」を選択し待機する
- Fireタブレットの「設定」>「接続デバイス」>「Bluetoothの設定」>「新しいデバイスとペアリング」をタップする
- PCのBluetoothに「Fire Tablet」と6桁のPINが表示されるので、「接続」をクリックする
- Fireタブレットの「使用可能なデバイス」に接続するPCのデバイス名が表示されているはずなのでタップする
- FireタブレットとPCに表示されているPINが両方とも同じことを確認して、それぞれ「接続」をタップするを入力する
やや手順が煩雑なので、詳しい手順は別記事であらためて解説する予定です。
【手順③】PCにBluetooth Audio Receiverをインストールする

Fireタブレットの音声をBluetooth経由でPCで受信するために、Microsoftアプリ「Bluetooth Audio Receiver」をインストールします。
Bluetooth Audio Receiverは、Microsoftストアからインストールできます。
【手順④】FireタブレットとPCをBluetooth Audio Receiverで接続する
PCのBluetooth Audio Receiverを起動します。
インストール後はインストールページのボタンが「インストール」から「開く」に変わっているので、クリックすればそのまま起動できます。

またスタートボタンにもショートカットが作成されているので、そちらからも起動可能です。
起動するとこのようなインターフェースが開きます。

Bluetoothでペアリングずみであれば、上記の画像のようにFireタブレットが認識されて表示されるので、「Fire Tablet」をクリックします。

Fire Tabletがアクティブになるので、「Open Connection」をクリックします。

「Open Connection」が有効になると、Fireタブレットの音声がPC側のスピーカーに接続されます。
PCのボリュームがオンになっていれば、この時点でPCからFireタブレットの音声が流れるはずです。
【手順⑤】AudacityでPCの内部音声の録音設定をする
Audacityをインストールします。
リポジトリはgithubで公開されていますが、現状では窓の杜からのインストールが確かかと思います。
インストールすると次の画面が立ち上がるので、録音用に設定していきます。

音声ホストが初期状態では「MME」になっているので、「Windows WASAPI」へ変更します。

マイク、録音チャンネル、スピーカーはPCでいつも使用しているものが選ばれているはずなのでそのままでOKです。



設定が終わったら、音声が繋がっているかを確認するために「モニターを開始」をタップします。

緑色のバーで表示されるマイク側の音声レベルがリアルタイムに上下していれば、Fireタブレットの音声が認識されています。

【手順⑥】録画と録音を同時に開始する
Fireタブレットの録画とPCの内部音声録音を同時に開始します。
Fireタブレット側の録画アプリの録画ボタンをタップするのとあわせて、PC側のAudacityの録音ボタンをクリックします。
多少頭がズレても編集ソフトでどうにでもなるので、多少頭の尺を余らせるくらいで始めるのがおすすめです。
また録画アプリには音声のオンオフがありますが、音声はオンのままにして外部音声ごと録画するのがおすすめです。
小さい音量で音声が入りますが、音声ファイルと合体させるときに音ズレを補正するためのガイドになります。
動画側の音声は最終的に編集ソフトでミュートできるので問題ありません。
終わりも同様に停止ボタンをそれぞれタップします。
【手順⑦】録画した動画ファイルをPCへ送りVideoProc Vloggerで音声と合成する
Fireタブレットで録画した動画ファイルをPCに送ります。
BluetoothではFireタブレットからエクスポートできないので、原始的ではありますが、USBケーブルでファイル移動を行います。
USBで接続しただけではFireタブレット内のフォルダが開けないので、Fireタブレットのシステムの「接続デバイス」>「USB」から「データ転送なし」のチェックを「ファイル転送」へと変更します。
これでFireタブレットがPCに外部ストレージとして認識されるので、「ScreenRecordings」フォルダから動画ファイルをPC側へ移動させればOKです。
またAudacityの音声データは「ファイル」>「書き出し」で音声データとしてエクスポートします。
あとはVideoProc Vloggerで動画ファイルと音声ファイルを読み込んで音ズレを補正すれば完成です。
Fireタブレットの録画に関する補足
ここでは補足的な事項をいくつかお伝えします。
分配ケーブルを使った方法では認識せず失敗
Androidで内部音声を録音するメジャーな方法として、分配ケーブルを使った方法があります。
イヤフォンジャックに分配ケーブルを差し込み、分配ケーブルのOUTからINへとオーディオケーブルを差し込むことで、出力された音声をそのまま入力に返すという方法なのですが、この方法ではうまくいきませんでした。
またFire HD 10 Plus(2021)では分配ケーブルを認識しましたが、Fire HD 8 Plus(2020)では認識しないなど、モデル間で反応にバラつきがありました。
パーツやアクセサリに相性があるのかもしれません。
またこの方法の発展系かと思われますが、Mobizenステレオレコーダーという録音機器が販売されています。
私自身は検証できていませんが、もしかするとこちらが有効かもしれません。
音ズレの完全回避は難易度が激しく高い
本記事の方法でいろいろ試してみましたが、現状では音ズレを完全には回避できないようです。
編集ソフト側の精度もありそうですが、コンマ何秒のズレの補正にはやはり一定の限界があり、映像と音をピッタリあわせようとするとそこそこ厳しいです。
いずれ音ズレの解決方法が記事に反映できればと考えてるので、しばらくお持ちいただければと思います。
まとめ
以上、本記事ではFireタブレットで内部音声付きで動画を撮影する方法について解説しました。
Fire OS 8では、ベースのAndroidのバージョンが11にアップしたこともあり、内部音声の録音問題は(おそらく)解決しているかと思います。
旧バージョンのFire OS内部音声付きの録画に挑戦したい方は、ぜひ方法の一つとして参考にしていただければと思います。