すぐに遅くなって使いものにならないとかは嫌なんだけど……。
SAKURAWiFiはデータ使用容量の無制限が売りのモバイルWiFiサービス。
しかし下記の記事でもご紹介しているとおり、使用容量が100GB前後から速度制限がかかり、通信速度が低下することが知られています。
さくらWiFi使ってわかったこと。
速度制限がくるのは都市伝説じゃない速度制限までの道のり
〜100ギガ付近 どんだけ使ってもおけ
100ギガ近辺 超不安定(高速だったり低速だったり)
120ギガ 速度規制 画像少ないWebページすら読み込めない#サクラワイファイ #sakurawifi— ほのりんご@IT会社で長期インターン中 (@tmthnk) December 1, 2019

その一方で、3日間で10GBを超えた場合に課される速度制限は撤廃。
つまりSAKURAWiFiは短期的に使用量が増加しても速度低下が起こらず、100GB付近まではがんがん使えるサービスということになります。
しかし100GB制限はあくまでユーザーの声によるもので公式がアナウンスしているものではありません。
そこで今回は、実際にSAKURAWiFiを100GBまで利用することで、どのように速度制限が起こるのかについて検証してみました。
目次
モバイルWiFiの速度制限とは
モバイルWiFi選びの際に、必ずチェックしておきたいのが速度制限です。
サービスによっては通信データを抑制するために、ユーザーの通信量が一定の基準を超えた場合に強制的に速度を低下させる場合があります。
適用された場合は128〜384kbps程度にまで速度が落ち、使用量が強制的に抑制されるというしくみ。
これについてはいろいろな意見、見方がありますが、無制限に開放すると異常な量を使うユーザーが出てしまう以上、やむをえない対応でしょう。
大容量の通信を継続するユーザーが増えると、回線全体の品質に影響を与えてしまうので、文字通り無制限にするわけにもいかないんですよね。
SAKURAWiFiでも速度低下に関しては下記のようなアナウンスがされています。
月間データ量につきましては、仕入れ元から月間データ量は定め無しで仕入れております。ですが以下の場合、全ての方に公平公正な通信の利用を提供するため、回線元の判断により地域毎に定める基準に従い速度制限(低速化:128kpps)が発生いたします。
- 申込者あるいは利用者が過剰な通信を行った場合。
- 著しく短期間で膨大なデータ量の消費または、異常な通信量とみなされた場合。
- P2P通信などで一定期間大量の通信を発生させ、他のユーザのご利用に影響を与えるなど、キャリアがトラフィック異常値、違法な利用用途であると判断した場合。
- 動画ストリーミング・オンラインゲーム・VOIP・FTP等負担の大きな通信を行った場合。
データ通信量のリセットは毎月1日です。
周知がされている以上、一般ユーザーとして大切なのは、速度低下の発動のしくみを把握しておくこと。
うっかり不用意に使いすぎることのないよう、使い方を管理することが大切です。
ヨノイ
SAKURAWiFi(サクラワイファイ)の使用ルーターFS030について
SAKURAWiFiで利用できるルーターの種類について
SAKURAWiFiで用意されているルーターは下記の5種類。
※スマホの場合は表を横スクロールできます。
モデル名 | FS030 | ARIA2 | 602HW | 601HW | G3000 |
---|---|---|---|---|---|
インターフェース | USB2.0 | USB2.0 | USB3.0 | USB Type-C | microUSB(USB2.0) |
サイズ (高さ×幅×厚さ) | 約74.0mm×約74.0mm×約17.3mm | 約110.0mm×約66.0mm×約17.0mm | 約65.1mm×約109.9mm×約15.5mm | 約65.0mm×約110.0mm×約15.5mm | 約70.0mm×約100.0mm×約15.0mm |
重さ | 約128g | 約110g | 約135g | 約135g | 約150g |
通信速度 (下り最大) | 150Mbps | 150Mbps | 612Mbps (350Mbps) | 350Mbps (612Mbps) | 150Mbps |
通信速度 (上り最大) | 50Mbps | 50Mbps | 13Mbps (37.5Mbps) | 37.5Mbps (13Mbps) | 50Mbps |
連続通信時間 | 約20時間 | 約17時間 | 約8.5時間 | 約8.5時間 | 約8時間 |
同時接続台数 | 15台 | 10台 | 14台 | 14台 | 5台 |
Wi-Fi | IEEE802.11a/b/g/n/ac | IEEE802 b/g/n | IEEE 802.11a/b/g/n/ac | IEEE 802.11a/b/g/n/ac | IEEE802.11 b/g/n(2.4GHz) |
製造年 | 2016年 | 2016年 | 2017年 | 2017年 | 2017年 |
どのルーターを使用するかについてはユーザーは選べず、届いたものを使用するかたちです。
今回僕の自宅に届いたのは「FS030」。
製造年は2016年で発売されてやや年数が経っていますが、速度は最大で下り150Mbps、上り50Mbpsと十分実用性のあるモデルです。
届いた内容物はルーター本体と充電用のケーブルのみ。
封筒に入って郵送で届きますが、入っているのは本当にこれだけですね。
説明書きなど一枚もなく、無駄がありません。
FS030の使い方
FS030は本体前面に小型の液晶ディスプレイがあり、操作は基本的にこちらを見ながら行います。
ボタンは2つで、前面に1つと右側面にもう1つWPS用のものがあります。
側面はこのような感じ。
前面のボタンは電源ボタンと操作ボタンを兼ねおり、長押しで電源のオンオフ、普通に押すと選択またはページめくりになります。
前面の液晶ディスプレイでは、バッテリー残量や通信の使用量が確認できます。
なお初期設定では2.5Ghz帯のみ設定されています。
接続はQRコードでも可能です。
回線は仕様どおり、ソフトバンクのみの表示となります。
こちらはBluetoothなど。
なお初期状態では5.0Ghz帯の設定はされていませんが、SAKURAWiFiに問い合わせたところ、ユーザー側で設定の追加ができるとのこと。
ルーターに接続した状態でブラウザから管理画面にアクセスすることで、セカンダリに5.0Ghz帯を追加できます。
FS030で接続した場合のSAKURAWiFiの回線速度
まず実験を始める前に、通常のSAKURAWiFiの回線速度をチェックしてみます。
FS030で接続した場合のSAKURAWiFiの平日昼間の回線速度はこのような数値。
昼間に計測しているので何十Mbpsも出るわけではないですが、それでも下りは13.8Mbps。
実際に使ってみても遅い感じはまったくなく、快適に利用できます。
以上を踏まえつつ、使用量を計測していきます。
SAKURAWiFiの使用容量を計測する
使用容量は次のように計測していきます。
SAKURAWiFiの計測方法
まずSAKURAWiFiでのデータ使用量は、FS030の液晶画面から確認できます。
画面の表示はこのようなかたち。
画面の中央にバッテリー残量を示すバーがありますが、その下に表示されています。
ちなみに画像の使用量は4.91KB。
ギガでもメガでもなく、キロバイトです。
ほぼ使っていない状態ですね。
今回の検証では、ここから動画をノンストップで再生していくことで100GBの通信量を目指します。
使用するのはMacbook ProとFire HD 10タブレット。
これらでそれぞれHuluとAmazonプライムビデオを再生します。
このような感じで始めます。
回線のスピードにもう少し余裕があれば、あといくつかデバイスを増やしてもよいのですが、現状はこれで様子を見ます。
ちなみに画像で再生されているのはエヴァンゲリオン劇場版の破とQですね。
ヨノイ
Macのディスプレイに我が家のカーテンが映り込んでしまっていますが、気にしないようにしてください。
SAKURAWiFiで10GBを使用した結果
とりあえず10GBを使用してみました。
今回は10.6GBをおよそ24時間で使用。
3日間以内で10GBを使用したかたちですが、公式がアナウンスしているように、回線速度に制限はかかりませんでした。
速度の数値もこのような感じ。
ちなみにざっくり計算で1時間30分の日本映画をHuluで再生して2GBちょいくらい。
10GBだと大体映画5〜7本くらいでしょうか。
3日間で10GB制限をかけるWiFiサービスもありますが、映画鑑賞が趣味の方だと割とすぐに達してしまう通信量かもしれません。
SAKURAWiFiで90GBまで使用してみる
50.3GBまで使ってみました。
速度を計測するとこのような感じ。
まだまだ速度低下は発生していません。
速度としては動画視聴にも十分足りるスピードですね。
なお動画視聴に必要な回線速度はおおむね10Mbps。
画質にもよりますが、フルHD画質でもその程度あれば十分快適に視聴できます。
ヨノイ
さらに使用を続けます。
80.5GBまで使用してみました。
速度も依然としておおむね好調。
上下両方で10Mbps以上をキープしています。
さらに使用を進めます。
90GB台に突入。
ここまで来ても速度は変わらず。
平日のお昼休み中なのにむしろ速度は快調です。
SAKURAWiFiで100GBまで使用した結果
SAKURAWiFiを100GBギリギリまで使用してみました。
99.7GB。
ここでいきなり速度が落ちます。
下り0.07Mbps。
さすがに使いすぎということで、ここで帯域制限がかけられたようです。
速度もアナウンスどおり、128Kbps以下といったところでしょうか。
ヨノイ
さすがにここまで速度低下してしまうと、動画はもちろんテキストベースでも利用は厳しい感じです。
速度低下はどのように起こる?強制的?
実は上の100GB手前の画像を撮った前後までは10Mbps前後の速度がキープできており、快適に動画再生ができていました。
そのため、これは100GBを超えてもしばらくはこの調子だろうと考え、いったん動画の再生を停止し、検証テストを中断したのですが、数時間後に再生を再開したところすでに速度制限がかけられていました。
そのため動画の再生中に強制的に速度を下げられる瞬間には立ち会えませんでした。
ヨノイ
しかし使用してない間に制限がかけられていたことから推測すると、数十分〜数時間に1回通信量のチェックをしており、そこで引っかかった契約者の速度を下げているのではないかと思われます。
もしかするともう少し継続して使い続けていれば、動画の画質が急激に劣化する様子を見られたかもしれません。
SAKURAWiFiで動画を見ると回線は安定しない?
今回は主にHuluとAmazonプライムビデオを使ってテストを行いました。
途中で動画が停止することはありましたが、WiFiの回線速度よりもサービス側のサーバーの安定感に原因がある印象です。
Huluではいつの間にか再生が途切れていることが多々ありましたが、プライムビデオではそのようなことはほぼありませんでした。
「SAKURAWiFiだと動画が安定して視聴できない!」という場合は、回線速度が十分であることを確認の上、他サービスで再生してみるとよいでしょう。
実際にSAKURAWiFiを1ヶ月で100GB近く使うことは可能か?
今回の実験の結果、ネットでの噂どおり、SAKURAWiFiは使用量100GB近辺で速度低下を起こすことを確認できました。
ただし実際に使ってみるとわかりますが、100GBはかなりの通信量です。
自宅用のWiFiも兼ねて使いまくらないとそうそう到達しないデータ量のはず。
今回の検証テストでは、Amazonプライムビデオを一日中Fire HD 10で再生し続けたうえで、5日間以上かかってやっと到達しています。
ヨノイ
あくまで体感込みの推測値ですが、24時間がんばって使ってもせいぜい20GB行かない程度ではないでしょうか。
それを考えると、(個人差はありますが)100GBはモバイルWiFiとしてはかなり非現実的な数字。
一般的な使い方であればあまり気にしなくてもよいのではないかというのが個人的な意見です。
まとめ:普通に使う限りは速度制限は心配する必要はなし、ぜひ利用してみましょう
速度低下の最終的な判断は回線提供者であるソフトバンクが行います。
そのため、もっと短期間にさらに多くの通信を行えば、もっと早くに制限がかかる可能性もあります。
しかし少なくとも、3日間10GBなどの短期の通信制限はありません。
実際のところ、設定されていたとしてユーザー的に直接的に影響が大きいのは、3日間10GB制限の方でしょう。
こちらの方こそ、現実的に簡単に到達してしまうデータ量なんですよね。
むしろほとんどの方にとっては、現時点のSAKURAWiFiの仕様であれば、通信容量は過剰に気にしなくてもOKなはずです。
幸いにも、SAKURAWiFiは縛りもなく解約金もかからない料金設計。
とりあえず1ヶ月間使ってみることで、自分の使い方ではどのくらいの通信量になるのか、実績値を確認できます。
通信速度などの使用感の確認も含めて、一度契約し利用してみたうえで、継続を検討することをおすすめします。