SNSのなかで、Twitter特有の行動といえるのが「エアリプ(空リプ)」です。
エアリプは、Twitterの持つ機能性とコミュニケーションの形態から生まれた、非常に独特な表現方法です。
本記事では、エアリプとは何かについて解説するのとあわせて、エアリプが生じる場面やエアリプをする人の心理について詳しく解説します。
エアリプ(空リプ)とは
エアリプとは、Twitterの公式のリプライ機能やメンション機能を使わずに行われる、特定のツイートやユーザーに対する言及のことです。
空リプ(からりぷ)とも呼ばれます。
日本では「エアギター(Air Guitar)」のように、「〜の振りをする」の意味でAir(「空気」の意味)という英単語が使われることがありますが、エアリプもその用法から使われるようになったものです。
エアリプという言葉はネットスラングや和製英語にあたるため、海外のユーザーには通じません。
エアリプ(空リプ)の機能や特徴
エアリプとは具体的にどういったものか、エアリプの機能や特徴から見ていきましょう。
言及した相手に通知が届かない
エアリプはリプライ機能やメンションを用いません。
そのため、特定の誰かに向けたツイートであっても、相手に通知されません。
Twitterの公式リプライやメンションは相手に対して通知が届くため、リプライ相手にツイートの内容が必ず伝わってしまいます。
しかしエアリプではツイートの内容が言及した相手に直接伝わることがありません。
そのため直接相手に伝えずに、不特定の誰かに向けてツイートしたいという欲求を発散できます。
自分に向けたものと確認しづらいため反応しづらい
エアリプは特定の誰かに向けられたものであり、見る人が見れば誰のことか分かるのが特徴です。
「ほのめかし」や「匂わせ」こそがエアリプの本質であり、関係のない第三者は「あの人のことかな」と察する一方で、言及された本人にとっては反応しづらいものです。
ツイートの内容を目にすれば「自分のことかも?」と察するケースが大半でしょうが、「それって自分のこと?」と聞くわけにもいかないため、非常にモヤモヤした気持ちに陥りがちです。
一方でエアリプを発した側は、相手に直接向かうことなくストレスを発散でき、場合によっては一定の共感や賛同を得られます。
エアリプはエアリプをする側に有利な構造で、それゆえにエアリプを繰り返していると、「あの人は性格が悪い」と思われることもあります。
自己保身的にも映るため、使い過ぎには注意が必要です。
エアリプは繋がりのある関係が前提
エアリプで行っていることは、リプライやメンションを付けないただのツイートです。
お茶の間で家族と喋るときと同じ感覚で、インフルエンサーの発言への感想をツイートしている人はたくさんいるでしょう。
同時に、具体的なツイートへの感想や意見でもない限り、芸能人や政治家のアカウントにメンションを付けて言及している人はほとんどいません。
しかしこれらがエアリプかというと、それはやや微妙でしょう。
またインフルエンサーのツイートにエアリプしたとしても、それはあくまで外形としてのエアリプです。
エアリプの本質は関係性のなかでのほのめかしや匂わせにあるので、お互いが対等なレベルで認識していない限りはエアリプは成り立ちません。
このことからも、エアリプは繋がりのある関係であることが前提といえるでしょう。
エアリプ(空リプ)の使われ方
エアリプは実際にどのような使われ方をしているのでしょうか。
ここでは主に下記の3つについて解説します。
- 好意などの匂わせ
- 悪意や嫌味
- リアクションの回避
好意などの匂わせ
好意や憧れといったポジティブなツイートでも、エアリプは使われがちです。
この場合は、何のことか分かるようなうっすらと匂わせたような内容であることが多く、期待や興味を刺激するような書かれ方をすることがあります。
悪意や嫌味
エアリプの使い方でもっとも多いのが、悪意や嫌味、批判などといったネガティブなものです。
正面切って批判することは避けつつも、言うべきことは言いたい場合に用いられがちです。
またこの手のエアリプはフォロワーから見ても誰のことか分かるケースも多く、いいねやリツイートで反応を得やすい傾向があります。
承認欲求も満たせるため、行動を反復するきっかけになりがちな使い方です。
リアクションの回避
単純に相手からのリアクションが面倒な場合にエアリプで済ませるケースです。
Twitterはコミュニケーションのハードルが低い分、具体的な言及が思わぬ関係性に発展することがあります。
人間関係をわずらわしいと感じる人にとっては、ポジティブなものであっても、関係性が生まれる要素を回避したいと考えるかもしれません。
そのような場合は、なるべく相手に認識されにくいエアリプが使われがちです。
なぜ鍵垢を使わずエアリプするのか
単純に言いたいことを言ってスッキリしたいだけなら、吐き出し用に作成したフォロワーゼロの鍵垢が安全です。
誤爆の可能性もありえますが、アカウントの設定色を変えたり発信するデバイスを固定するなどの工夫で、リスクは大きく下げられるでしょう。
しかし前述のように、エアリプの本質は匂わせやほのめかしのような「見る人が見ればわかる」という点にあります。
ある種の承認欲求が潜んでおり、誰かにこのツイートを見られたいという気持ちから行われるものといえるでしょう。
ほかのアカウントに絡まれずに発言したい場合も、エアリプを使うことはありますが、真に危険を回避するなら鍵垢などの運用が無難です。
エアリプをするからには、発言内容を誰かに見てもらいたいという思いがあることは間違いないでしょう。
しかしエアリプだからといって何を発言してもいいわけではありません。
公開ツイートは不特定多数に公開されているものということを念頭において、トラブルの火種にならないよう、内容には注意しましょう。