本記事では、Amazonの販売するFireタブレットシリーズの最上位モデル『Fire HD 10 Plus』についてレビューします。
Fire HD 10 Plusはシリーズ中で最高のスペックを持つモデルということで、Fireタブレットの購入を検討している方にとってはやはり気になるでしょう。
今回私もFire HD 10 Plus(32GB)を購入したので、実際に使用して感じたことをお伝えできればと思います。
まず結論を端的にお伝えすると、Fire HD 10 Plusは相当良いです。歴代のモデルのなかでも、ベストバイの1つと個人的に位置づけています。
ちなみにFire HD 10シリーズはこれまでに2017年モデル、2019年モデルを購入しており、今回で3台目です。
またFire HD 8 Plusも所有しているので、そちらとの比較についても織り交ぜつつ解説していきます。
なお本記事は、実物の外観やスペック、使用感など、デバイスそのものの内容をメインにお伝えしています。
「Fireタブレットで何ができるのか?どう楽しめるのか?」については、下記の別記事で紹介しているので、ぜひこちらもあわせてご覧ください。
- フルHD10インチの大型ディスプレイでコンテンツを楽しめる
- 電子書籍を読む際に横持ちにして左右の見開きで読める
- Fireタブレット中で最も性能が高く動きもサクサク
- Alexa(アレクサ)搭載で口頭指示に対応
- ShowモードでEcho Showのように使用可能
- ワイヤレス充電に対応
- RAM4GBを搭載
- 本体サイズが大きく持ち歩きには不向き
- GPS(位置情報サービス)が利用できない
- Google Playが(抜け道も含めて)使えなくなった
- iPad的には使えずあくまでAmazonコンテンツ再生機
2019年モデル(旧モデル・第9世代)から変化したポイント

Fire HD 10シリーズの新モデルを語る前にまず押さえておきたいのが、今回新たに刷新された部分です。
2モデル構成や本体の形状の変化など、単純なスペックアップ以外の変更が行われており、より使いやすく選択肢が豊富にアップデートされました。
ポイントは以下の3点です。
- 本体が新デザインになりiPadっぽい縦横比に変更
- 上位版(Fire HD 10 Plus)と通常版(Fire HD 10)の2モデル構成に
MS 365 Personalと専用カバーキーボードが付属のエッセンシャルセットが登場(2023年7月現在在庫なし)
それぞれ解説していきます。
変更点①:2021年モデルは本体の寸法が変更、iPadっぽい形状に

Fire HD 10 シリーズは今回のモデルから本体のデザインが新たなものへと変更されました。
具体的には長辺が約1.5cm短くなり、短辺が約0.7cm幅広に変わったことで、iPadに近い本体バランスへ近づいたといえるでしょう。
ディスプレイの解像度や縦横比に変更はありませんが、各種ボタンやイヤホンジャックなどの位置もあわせて見直されています。
変更点②:上位モデルのFire HD Plusと通常モデルのFire HD 10の2モデル構成に


これも先行するFire HD 8 シリーズを踏襲した変更で、上位モデル・通常モデルの2モデル構成となりました。
- 上位モデル:Fire HD 10 Plus
- 通常モデル:Fire HD 10
上位モデルのFire HD 10 Plusは、通常モデルと比べてRAM(メモリ)が増設されており、またワイヤレス給電に対応したことで、快適性が向上しています。
また専用のワイヤレススタンドも販売されるなど、より道具としての使いやすさが増している印象です。
③:Microsoft 365 Personalと専用キーボードカバーのエッセンシャルセットが登場
また今回の新モデルの方向性を示しているのが、エッセンシャルセットの登場です。
エッセンシャルセットの同梱物
エッセンシャルセットは、Fire HD 10シリーズに下記の2つの製品を組み合わせた商品で、よりビジネスユースを意識したセットです。
- Microsoft 365 Personal(1年版)
- キーボード付きカバー
ちなみにMicroSoft 365 Personal は、MicrosoftのOfficeやOutlook、OneDriveが全部入りとなった、サブスク型の個人向けソフトウェアで、まさにビジネスユースど真ん中なソフトウェアです。
またこれにあわせて、キーボード付きの専用カバーがセットになっています。
脱エンタメ&ビジネスユースを志向した画期的なセット
エッセンシャルセットをひとことで言えば「エンタメのみの使用から一歩脱却した画期的なセット」です。
Fireタブレットといえば、「Amazonのコンテンツの利用に最適化されている」ことが最大のアピールポイントで、言わばエンタメに特化したデバイスでした。
しかし今回のエッセンシャルセットは「Fireタブレットをビジネス向けに利用できないか?」という模索が見えるもので、Fireタブレットの新たな方向性がうかがえるセットです。
価格も単品購入で揃えるよりも大幅に割引されており、ここ数年で高価格化しているChromebookなどの代替機として使用するのもありかもしれません。
Fire HD 10 Plusのスペックと価格
まずはFire HD 10 Plusのスペックと価格についてお伝えしていきます。
Amazonの製品ページに記載のない細かい数字も載せていますが、カタログ的な情報に興味がなければ次まで飛ばしていただければと思います。
Fire HD 10 Plusのスペック一覧
まずはFire HD 10 Plusのスペックについてです。
Fire HD 10 Plusは32GBモデルと64GBモデルの2種類が販売されており、通常モデルのFire HD 10と比較した表が以下のものになります。
なおスペック上の違いで優位性のある部分について、文字色を赤字に変えています。
Fire HD 10 Plus タブレット | Fire HD 10 タブレット | |||
世代 | 第11世代(2021年発売) | |||
イメージ | ![]() |
![]() |
||
カラー | スレート | ブラック、デニム、オリーブ | ||
価格 | 18,980円 | 22,980円 | 15,980円 | 19,980円 |
ディスプレイ | 10インチHD、IPSディスプレイ | |||
解像度 | 1,920 × 1,200 (224ppi) | |||
OSバージョン(出荷時) | Fire OS 7 | |||
Bluetoothバージョン | 5.0LE | |||
プロセッサ | 2.0GHz クアッドコア | |||
RAM | 4GB | 3GB | ||
オーディオ | 3.5mmステレオジャック、内蔵Dolby Atmosデュアルステレオスピーカー | |||
センサー | アクセロメータ、環境光センサー | |||
マルチタッチ | 5ポイント | |||
Alexa搭載 | ◯(ハンズフリーモード対応) | |||
ストレージ | 32GB | 64GB | 32GB | 64GB |
microSDカードスロット | 1TBまで対応 | |||
カメラ | 2メガピクセルフロントカメラと5メガピクセルリアカメラ、720pHDビデオ録画 | |||
位置情報サービス | WiFi経由の位置情報サービス(GPSの搭載はなし) | |||
Wi-Fi | デュアルバンド a/b/g/n/ac ※wifi 6(802.11 ax)は非対応 | |||
バッテリー | 最大12時間 | |||
ワイヤレス充電 | ◯ | 非対応 | ||
充電時間 | 同梱のUSB-C(2.0)ケーブル、9W充電アダプタで約4時間 | |||
入出力 | USB-C(2.0)コネクタ | |||
サイズ | 247 × 166 × 9.2mm | |||
ゲームモード | ◯ | |||
重量 | 468g | 465g | ||
保証 | 1年間限定保証付き(国内の場合は別売で延長オプションあり) |
見ていただくとわかるように、スペック上での差は実はほとんどありません。
両モデルの違いをまとめると下記のとおりです。
- 本体カラーがFire HD 10の3色に対しFire HD 10 Plusは1色のみ
- Fire HD 10 PlusはRAMに4GBを搭載
- Fire HD 10 Plusはワイヤレス充電に対応
- 本体価格が異なる(およそ3,000円差)
カラーと価格は置いておくとして、ポイントはRAMの容量とワイヤレス充電の有無ですね。
RAMは4GBが搭載されたことで、これまで以上にアプリの挙動の向上が期待できます。
RAMとは「Random Access Memory」(ランダム・アクセス・メモリー)の略で、いわゆる作業領域にあたるもの。この容量が大きいことで、より大きなデータを扱うことができます。
多くのアプリを一度に開くことができるため、より快適な利用が可能となります。
RAMの4GBと3GBの体感差を厳密に測ることは難しいですが、よりヘビーに使い倒したい場合は、4GBは安心できる数字ですね。
とくに今回エッセンシャルセットを購入して、Excelで関数やマクロをゴリゴリ使いたいというような方は、RAMは多い方が無難かもしれませんね。
特にRAMは後から増やすことができないパーツなので、ワイヤレス充電の利便性も含めてFire HD 10 Plusを選んでおくのは合理的でしょう。
また全てのFireタブレットの中で、4GBを選べるのはFire HD 10 Plusだけというのもポイントですね。
Fire HD 10 Plusの本体価格について
Fire HD 10 Plusの価格は下記のとおりです。
モデル名 | 32GB | 64GB |
---|---|---|
Fire HD 10 Plus | 18,980円 | 22,980円 |
Fire HD 10 | 15,980円 | 19,980円 |
定価で見ると、モデルによっては20,000円以上と結構な価格ですが、そこはAmazonデバイス。
セール対象になるとグッと安くなるので、セール時価格で考えるのが正解ですね。
ちなみに2021年のプライムデーではさっそくセール対象になっており、32GBモデルが13,000円程度で入手が可能となっています。
大型セールはタイミングもあるため、時期があわない場合は、毎月開催のタイムセール祭りなどを狙っていくのがおすすめです。
» Fireタブレットの全セール価格まとめ。割引率をチェックしてお得な購入を
またMicrosoft 365 Personalとキーボード付きカバーがセットになったエッセンシャルセットの価格は下記のとおり。
モデル名 | 32GB | 64GB |
---|---|---|
Fire HD 10 Plus エッセンシャルセット | 27,980円 | 31,980円 |
Fire HD 10 エッセンシャルセット | 24,980円 | 27,980円 |
エッセンシャルセットは価格から見てもお得なセットです。
とくにMicrosoft 365 Personal がポイントで、同ソフトは複数デバイスでの利用が仕様上認められているため、Fireタブレット以外でも使用が可能です。
さまざまなデバイスにインストール可能
Windows、Mac、iPadOS、iPhone、Androidなど、さまざまなデバイスにインストールできます。
インストールできる台数は無制限
※同時使用は 5 台までになります。
生まれ変わった Microsoft 365 Personal の特徴と新機能 – Microsoft atLife
PCやMacなどの他のデバイスでも利用できるので、他にも利用場面が想定できる方はぜひ検討したいですね。
こちらも販売がしばらく継続しそうなので、ぜひセールでお得にゲットしましょう。
Fire HD 10 Plusの本体画像
ここからはFire HD 10 Plusの本体について、画像を使いながら各パーツを紹介していきます。
またFire HD 8 Plusについてもレビュー記事を公開しているので、どちらにするか迷われている方はぜひこちらもご覧ください。
» AmazonのFire HD 8 Plusを徹底レビュー!スペックや使い方、無印モデルとの違いを解説
Fire HD 10 Plusの本体および付属品
まずはFire HD 10 Plusの本体と付属品一式について。
外箱はこのようないわゆる箱型です。

開けるとこのように説明書、リーフレット、コンセントプラグなどが納められています。

本体サイズの変更は今回の注目したいポイントの一つで、従来モデルよりも長辺が短く、短辺が長くなっています。
この辺りは旧モデルと並べてみると違いがよくわかります。

左が旧モデル(2019年モデル)、右が新モデルですね。
旧モデルは上下にベゼルが広く張り出していて、デザイン的にやや古臭い印象がありました。
今回の変更ではベゼル幅がほぼ一定となり、iPad的な形状に近づいたかたちです。
また背面のデザインも変更されており、Amazonのスマイルマークの向きが変わっています。

カバーやスタンドなど、横置きで使うための純正アクセサリーが増えてきたこともあり、横置きした時に違和感のないように修正されたものと思われます。
またカメラ位置も変更され、リアカメラはこれまでの左端から新たに右端へと移動しました。

なおこれらの変更はFire HD 8 Plusを踏襲しており、変更内容はほぼ同じ。
つまりサイズこそ違えど、デザイン的にはほぼ同じです。
並べてみるとこのとおり。

なお本体カラーについては、Fire HD 10 Plus、Fire HD 8 Plusともにスレートと呼ばれるグレーカラーになっていますが、色味に微妙な違いがあります。

気にするほどの部分ではないかもしれませんが、お持ちの方は比べてみても面白いかもしれません。
また今回のボディの変更で、本体が若干薄くなっています。
重ねてみるとこのような具合。
上が旧モデルで下がFire HD 10 Plusです。

画像ではわかりにくいですが気持ちやや薄くなっており、本体の縁もよりカーブが強調され、手に触れた際に薄さを感じやすい仕上がりになっています。
比べてみると旧モデルはかなり角張った印象ですね。
またコンセント類はいわゆる普通の9WコンセントにUSB-Cタイプのケーブルが付属しています。

なお付属品はFire HD 8 Plusと共通で、そちらのレビュー記事でも画像を多めに紹介しています。
詳細をご覧になりたい方はぜひそちらでチェックしてみてください。
» AmazonのFire HD 8 Plusを徹底レビュー!スペックや使い方、無印モデルとの違いを解説
Fire HD 10 Plusの本体サイズ・重量
Fire HD 10は今回発売された第11世代モデルにて、長辺が約1.5cm短くなり、代わりに短辺が約0.7cm広がりました。
これはFire HD 8 シリーズの2020年モデルと同様の変更ですが、Fire HD 8では横幅が広がったことで片手だけで持ちづらくなったのが残念な点でした。
ではFire HD 10ではどうかというと、10インチサイズのタブレットなのでサイズ的にはさらに大きく、片手持ちは厳しめ。

背面から見てみても当然指はまわらないので、ノートや雑誌を持つような具合になります。

旧モデルでも片手持ちは厳しかったですが、やはり今回も両手持ちで使った方がよさそうですね。
重さも468gとそれなりにあるので、一般的な成人男性でも片手持ちで長時間は厳しいと思います。

なお長辺のベゼルが狭くなったことで、横持ちするにしても画面に指がかかりやすくなってしまいました。

やむなしとは言えど、若干残念な部分です。
なお本体重量の468gは旧モデルから40g近く軽くなっており、まずまずの軽量化。
とはいえ重さは感じる重量なので、長時間利用するということであれば、スタンドを購入した方がよさそうです。
せっかくのワイヤレス充電機能なので、おすすめは専用のスタンドですが、安く済ませたい場合は、Amazonベーシックのこちらの製品がおすすめ。
純正品だけあってAmazon製品にフィットするように設計されているので、グラつくなどのストレスがありません。
安く揃えたいならベストバイだと思います。
Fire HD 10 Plusのディスプレイ
Fire HD 10 Plusのディスプレイは旧モデルと変わらず、1,920×1,200ピクセルのフルHDディスプレイです。

Ratinaディスプレイなどの高精細な画面と比べるとやや物足りないですが、普段使いするには十分きれいな画面だと感じます。

ディスプレイサイズもしっかりあるので、映画などもしっかり楽しめますよ。
旧モデル(2019年)、Fire HD 8 Plusと比較すると以下のような具合。

左から旧モデル、Fire HD 10 Plus、Fire HD 8 Plusで、それぞれ最大輝度に設定して撮影しています。
比較してみるとFire HD 10 Plusの液晶は青色の強いタイプのもの。
それと比べて旧モデル(左)はかなり黄色がかっています。

Fire HD 10 Plusは青白さが強調された、日本人好みと言われるタイプの液晶ですね。
(黄味がかった液晶を否定するわけではないですが)
また明るさはどれも同程度で、特に暗いなどといった印象はありません。
なお念のために申し上げておくと、本記事での Fireタブレットの画像は一部の画像を除き、全てアンチグレアフィルムを貼付ずみです。
というのも、Fireタブレットのディスプレイは何も貼らずむき出しだとめちゃくちゃテカるからです。
写り込みがハンパないです。
ちなみに何も貼らないとこのような感じ。

鏡のように文庫本の表紙が映り込んでいます。
蛍光灯もバンバン映り込んでしまうため、購入する際はアンチグレアフィルムの同時購入をおすすめします。
ちなみに私のおすすめはASDECの製品。
アンチグレア度がかなり高めで、おそらく最善のフィルムの一つかと思います。
フィルムが1枚しか入っておらず失敗できないのがプレッシャーですが映り込みはほぼなくなるので、購入するならこちらをおすすめします。
電源、ボリューム、入出力
ボディの変更にあわせて、各種ボタンや入出力関連、またオーディオスピーカーなども位置が変更されています。

旧モデルと重ねてみると次のような具合。
ボリュームの位置は変わりませんが、電源ボタンがこれまでの右端から中央に移動し、反対にイヤホンジャックが右端にきています。

端子はUSB-Cが搭載。
また中央に2つ見える小さな穴はマイクで、旧モデルでは1つでしたが、Fire HD 10 Plusでは2つに増えています。
電源ボタンの位置変更は、これまでのFire HD 10ユーザーにとっては慣れるまでにやや時間がかかるところかもしれません。
真ん中あたりという微妙な位置にあるため指で探らなければならず、微妙にストレスな感じがあります。
オーディオ・スピーカー
またオーディオ関連はイヤホンジャックがあるほか、Dolby Atmos対応のデュアルステレオスピーカーを搭載しています。
スピーカーは長辺側に設置されており、スピーカー穴が7つ空いています。

旧モデルでは穴が6つでしたが1つ増えており、また穴の大きさも一回り大きくなっています。
長辺が短くなった分スピーカー間の距離が取れなくなったのをカバーするためと思われます。

実際音質はどうかというと、かなりサラウンド感が効いており、プライムビデオ向けに調整されている感じがあります。
スピーカー位置も左右に距離が取れている分、それなりに迫力もあるので、本体スピーカーで聴いてもまずまず「アリ」だなという感じはします。
その一方でAmazon Musicを再生するとやや「?」な印象です。
楽曲を再生すると少々まとまりがないように聴こえてしまい、音楽用途ならFire HD 8の方が向いているような印象です。
この辺りはデバイスの性格にもとづいた調整の結果でしょうし、実際に1ユーザーとしての自分の使い方から考えても、これはこれで正しいのでしょう。
Fire HD 10 Plusを利用するなら、きっとまずはプライムビデオなはずなので。
Fireタブレットを使われる方はヘッドフォンやイヤホンで利用することが多いとは思いますが、たまに本体から音声を出してもまずまず楽しめるのではないかと思います。
処理性能とAnTuTuベンチマークスコア
仕様上は下記のチップが搭載されています。
- システムオンチップ(SOC)プラットフォーム:MediaTek MT8183(64ビットオクタコア)
- CPU:MT8183、64ビットオクタコア(最大2GHz)
- GPU:ARM Mali-G72 MP3 GPU(最大800MHz)
またAnTuTuベンチマークスコアは下記のとおり。

さらにGeekBench 3の計測結果です。

他のモデルとの比較は下記の記事で比較掲載しているので、ぜひこちらでご確認ください。
» Fireタブレットのベンチマーク一覧を一挙公開!AnTuTuベンチマーク、Geekbench3で計測
なおベンチマークスコアで見る限りは、旧モデルとの差はそこまで大きくありません。
2019年モデルをお持ちであれば、はっきりとした不満がない限りは買い替えは不要かと思います。
なお実際に使用した感覚としては、圧倒的にぬるぬる。
スワイプの行き来やメニューやアプリの展開はもちろん、Silkでのブラウジングにいたるまで、全てに引っ掛かりがありません。
正直、かなり快適です。
今使っているFireタブレットの動作が重くてしょうがない、という方は買い換えればストレスからかなり解放されるかと思います。
バッテリー容量と駆動時間、ワイヤレス給電
Fire HD 10 Plusは仕様上は12時間の連続駆動が可能。
一度の充電で長時間の利用ができます。
バッテリー消費はAlexaハンズフリーとShowモードの利用の仕方にかなり左右されますが、ワイヤレス充電スタンドを利用することでほぼ充電切れを防げます。
またFire HD 10シリーズは9Wのアダプタが同梱されているため、4時間もあれば充電が完了します。
古いモデルでは5Wのアダプタしか付属しておらず、充電に時間がかかり過ぎていましたが、バッテリー周りはかなり使い勝手が改善しています。
フロントカメラ・リアカメラ
Fire HD 10 Plusではリアカメラの性能がアップし、5メガピクセルとなりました。
とはいってもカメラとしての性能はこれまでと大して変わらず、QRコードを読み込む用くらいに思っておいた方がよいかと。
AmazonアプリストアではZOOMアプリも配信されており、ZOOM用の端末としても活用できますが、フロントカメラは2メガピクセル。
画質は期待できないことは理解しておいた方がよいでしょう。
» 【Amazon】FireタブレットでZOOMを利用する方法
またリアカメラの位置が右端へと移動したのに加え、フロントカメラも長辺側に移動しています。

おそらく横置きでの利用が多くなってきたことからの変更でしょう。
なお上記の画像のようにカメラを上側にした場合、スピーカー位置はカメラ側(上側)にきます。
内部・外部ストレージ
内部ストレージは32GBと64GBの2種類が用意されています。
価格差は3,000円ですが、外部ストレージ(マイクロSDカード)による拡張が1TBまで可能となっています。
昨今の情勢によりSDカードが値上がり傾向にはありますが、32GBモデルを買って、外部ストレージで拡張した方がコスパはよいかと思います。
Fire HD 10 Plusの機能
次にFire HD 10 Plusの機能面での特徴について詳しく解説していきます。
ワイヤレス充電の採用

Fire HD 8 Plusに引き続き、ワイヤレス充電が搭載されました。
充電時にいちいちアダプタにつなぐ必要がなくなったのは大きいですね。
またワイヤレス充電により、後ほど説明するShowモードが利用しやすくなりました。
» Fire HD 10タブレットをハンズフリーモードとShowモードで使用するメリット
Showモードとは、FireタブレットのディスプレイをEcho Show化する機能ですが、如何せんコンセント充電との相性が最悪でした。
コンセントに差しっぱなしにしなければ画面がスリープするし、コンセントに差しっぱなしにすれば持ち運びたいときにわずらわしくなる……。
これがワイヤレス充電機能により、置けばShowモード、Fireタブレットとして使いたい場合もサッと持ち上げるだけ、といった使い方ができるようになりました。
ワイヤレス充電を利用するためには充電器が別途必要になりますが、ぜひ積極的に利用したい機能ですね。
なお専用のワイヤレス充電スタンドも用意されており角度や安定感も抜群なので、ぜひ揃えておきたいところです。
専用のワイヤレス充電スタンドは接触の不良による充電状態の頻繁な切断が多数報告されています。
購入時にはAmazonレビューなどを参照いただくことを強くおすすめします。
RAM4GBを搭載
Fire HD 10 PlusではRAMが4GB搭載。
これはFireタブレットシリーズ中で最大です。
RAM拡張の目的はいろいろ考えられますが、おそらくMicrosoft Officeの快適性を高める目的もあったのだろうと思われます。
エッセンシャルセットの購入をお考えの方で、Excelなどをバリバリ使いたい方はFire HD 10 Plusの方が安心かもしれません。
またゲームなどのエンタメ方面でも恩恵が期待でき、さらにGoogle Playをインストールしていろいろやりたい方は、4GBあった方が無難かもしれませんね。
10インチディスプレイによる迫力ある大画面
Fire HD 10シリーズの最大の特徴の一つがディスプレイの大きさ。
10インチかつフルHDディスプレイを搭載しており、迫力ある映像を楽しめます。
またマンガや書籍を見開きで読んでも、1ページが小さくなり過ぎることがありません。

本体を横持ちにした上でKindleを利用することで、実際の紙の本に近いサイズで読書できますよ。
AIアシスタント・Alexa(アレクサ)の搭載
Fire HD 10 PlusにはAmazonのAIアシスタントのAlexa(アレクサ)が搭載されています。
AmazonはEchoシリーズはもちろんのこと、Fire TVシリーズなど全てのAmazonデバイスにAlexaを搭載していく方針の模様。
AlexaがAmazonデバイスに搭載されたことで、デバイス間の情報や操作を統合できるようになりました。
またFireタブレットではその特性にあわせて、より使いやすくなるよう「Alexaハンズフリー」が搭載されています。
これにより、Fireタブレットではスリープ状態にかかわらず声だけでAlexaを起動できるようになっています。
Showモードによる擬似Echo Show化

またFireタブレットにはShowモードと呼ばれる機能が搭載。
これをオンにすることで、Fireタブレットの画面がEcho Showに切り替わり、擬似Echo Showとして利用できるようになります。
タブレットとして触ってない時はShowモードにして部屋に置いておくなど、使い方の幅が広がる機能ですね。
ゲームモードの搭載
FireタブレットのOSであるFire OS 7より、ゲームモードが搭載。
ゲームモードとはゲームプレイにFireタブレットの内部処理を最適化したモードで、不要な通知などが画面に表示されなくなります。
Fire HD 10 Plusでも利用できるので、ゲーム好きな方はぜひ利用してみましょう。
Fire HD 10 Plusで注意しておきたいデメリット
高機能なFire HD 10 Plusにも、いくつか注意しておきたいポイントがあります。
ここではそのデメリットについてご紹介していきます。
①:本体サイズが大きく持ち歩きには不向き
本体サイズが大きく重量もあるため、あまり持ち歩きには向いていません。
とはいえiPadとほぼ同等の大きさではあるので、それが許容できればありと言えばありです。
真に注意なのは、エッセンシャルセットに付属する専用キーボード付きカバー。
いかにも場所を問わずビジネスワークできそうなセットではありますが、カバーの重量がそこそこあります。
装着すると1kgを超えるため、軽量なノートPCがあればあえてFire HD 10 Plusを持ち歩くメリットがありません。
②:GPS(位置情報サービス)が利用できない
Fireタブレットはもともとホームユースを前提としているため、GPSが搭載されていません。
位置情報を前提とした地図サービスなどは使えないため、注意しておきましょう。
③:Google Playが(公式的には)使えない
Fire OSはAndroidをカスタマイズしたOSですが、Google Playは使えません。
アプリに関しては、Amazonアプリという専用のアプリストアにあるものを利用します。
メジャーなアプリは配信されているものの、決してラインナップはよくないため、アプリ利用に関してはあまり期待できません。
Google Playは非公式にインストール可能(自己責任で)

Google Playは利用できないというのがFireタブレットの建前ですが、あの手この手を使えばインストール可能です。
いろいろと差し障るところも出てくるであろうワザなので「全ては自己責任の上で」が枕詞になりますが、技術的にはインストールが可能です。
なおFire HD 10 Plus(32GB)へのインストールに関しては実機を購入後に実際に自分で試し、起動を確認済みです。
» FireタブレットにGoogle Playをインストールする方法を詳しく解説
Fire HD 10 Plusは最大3年間の延長保証もオプション可能
Fire HD 10 Plusは購入時に1年間の限定保証がついていますが、これとは別に最大3年間の有償の延長保証を購入可能です。
延長保証は本体の購入から30日以内に行う必要があるため、購入を考えている方は早めにポチりましょう。
なお保証の内容は下記のとおり。
- メーカー保証期間終了後の自然故障・不具合について1回に限り無償で代替品に交換(バッテリーの劣化含む)
- 落下による故障、水濡れなどの偶発事故は保証期間中に1回に限り無償で代替品に交換
保証期間は2年間と3年間の2種類が用意されています。
- 2年間:3,480円
- 3年間:4,380円
保証をつけるかは毎回悩ましいところですが、Fire HD 10シリーズは本体価格もそれなりに高く、次のモデルまで2年は空くことを考えると、延長保証もありだと思います。
ちなみに私は壊れたら買い替えすることにしており、保証はつけていません。
Fire HD 10 Plusのエッセンシャルセットについて
2023年7月現在、エッセンシャルセットの在庫は存在しないようです。
プライムデーに向けて復活するか……?という期待もありますが、おそらくラインナップとして姿を消したと思われます。
下記はあくまで参考として残しておくものなので、あらかじめご了承ください。
Fire HD 10 Plus/Fire HD 10では、エッセンシャルセットというセット製品が販売されており、人気を集めています。
本体に加えて下記の2製品がセットになっており、価格的にはかなりお得なセットです。
- Microsoft 365 Personal(1年版)
- キーボード付きカバー
Mcrosoft 365 Personal(1年版)
Microsoft 365 Personal は、MicrosoftのOfficeやOutlook、OneDriveがセットになった、サブスクリプションサービス。
従来のOfficeを始めとした買い切り型のMicrosoft製品は非常に価格も高く、なかなか購入しづらいソフトウェアでしたが、月額制のサブスクリプションとなり、かなり手が出しやすくなりました。
Fire HD 10 Plus/Fire HD 10のエッセンシャルセットではこのMicrosoft 365 Personalの1年版がセットに含まれており、非常に魅力的なセットとなっています。
なお、Microsoft 365 Personalの製品版は下記の内容になっています。
月間プラン(税込) | 1,284円 |
年額プラン(税込) | 12,984円 |
対象ユーザー | 1人 |
インストール可能台数 | 制限なし |
同時利用可能台数 | 5台まで |
対象デバイス | WindowsPC Mac iPad Androidタブレット Windowsタブレット Fireタブレット スマートフォン |
対象ソフトウェア | Word Excel PowerPoint Access OneNote Outlook Publisher OneDrive(1TB) Skype(固定電話に60分まで) |
製品としてはかなり充実していて、WordやExcel、Accessが使えるのに加えてOneDriveが1TBまで付属しています。
また注目すべきがインストール可能なデバイスで、対象は制限なし。
つまり使用は購入したFire HD 10 Plusに限定されていないため、別に所有しているPCなどでも利用可能と、かなりお得なセットとなっています。
製品価格から見ても、エッセンシャルセットはFireタブレット本体にこのMicrosoft 365 Personal分が加わった価格となっており、キーボード付きカバーが付属することから考えてもかなりお得な製品です。
通常時に購入した場合の比較
エッセンシャルセット | 別々に購入した場合 | |
---|---|---|
Fire HD 10 Plus | ー | 18,980円(税込) |
Microsoft 365 Personal | ー | 11,682円(税込) |
合計 | 31,980円(税込) | 30,662円(税込) |
※Microsoft 365 PersonalはAmazonでの実売価格をベースにしています。
またセール価格はセールごとに多少の上下はありますが、2022年3月のセールでは下記のとおりとなっており、やはりそれぞれに大きな差はありません。
セール時に購入した場合の比較
エッセンシャルセット | 別々に購入した場合 | |
---|---|---|
Fire HD 10 Plus | ー | 12,980円(税込) |
Microsoft 365 Personal | ー | 11,682円(税込) |
合計 | 25,979円(税込) | 24,662円(税込) |
※Microsoft 365 PersonalはAmazonでの実売価格をベースにしています。
Microsoftでは、オンラインで使える無料のOfficeもリリースしていますが、細かい部分で使い勝手は悪く、やはりソフトウェア版にかなうものはないように感じます。
Fireタブレットでの利用は後述の専用キーボードの出来にも多少影響されるところかもしれませんが、自宅のPCでの利用を考えてもおすすめのセットです。
専用キーボード付きカバー
エッセンシャルセットでは、キーボード付きの専用カバーが同梱されています。
Microsoft 365 Personalの利用に説得力を持たせるために新たに用意したと思われますが、結果的に非常に評判はよくありません。
その理由は下記の2点。
- キーボードの配置が独特
- 重量が1kg超えと本体よりも重い
私も購入こそしていませんが、現物を触らしてもらったところキー配置はかなり独特で、おそらくこの製品にしかないものです。
スケールメリット優先でキーボード配列をローカライズしていないと思われ、英字キーボードの配列に無理やり日本語キーを押し込んだためかなり無理のある配列になっています。
Windows系のキー配置、Mac系のキー配置に慣れた方のほとんどがタイプミスを連発するはずで、このキーボードのためだけに指を慣らすのも正直非効率なので、まともな外付けキーボードを別途購入した方が全然ましだと思います。
少なくとも「本体重量よりも重いキーボード付きカバー」が製品としてナンセンスなので、おまけ程度に考えておくと期待を損なわれないでしょう。
キーボードがダメでもMicrosost 365 Personalで十分元は取れる
キーボードカバーに関しては辛口に書きましたが、先ほども触れたように、Microsoft 365 Personalが付属しているだけでも価格的にはトントンで、その点では決して悪いセットではありません。
Microsoft 365 Personalを使いたいという方にはおすすめの商品です。
ただしキーボードはやはり改善すべき点の多い製品で、スケールメリットでどうにかしようというAmazonの大雑把さが裏目に出ているように感じます。
とはいえそもそもそんなにタイピングしない方にとっては「打てれば十分」というところかもしれませんし、本格的なモバイルユーザーならそもそもFireタブレットでどうこうしようとしない、という点ところでは、意外にユーザーのニーズを捉えた商品なのかもしれません。
購入前にどのように使いたいかをよく考えたうえで購入することをおすすめします。
【徹底比較】Fire HD 10 Plusと◯◯、買うべきはどっち?
Fire HD 10シリーズは製品のバリエーションが増えたこともあり、またFIre HD 8 Plusなど他の選択肢も豊富で、どれを買うべきか悩むところです。
ここでは2つの製品のどちらを購入すべきか迷われている方に向けて、決断をアシストする意味も含めて私見を述べてみたいと思います。
①:Fire HD 10 Plus VS Fire HD 10
Fire HD 10シリーズを購入したい方にとって、この2機種はどちらにするか悩むところです。
ポイントは下記の2点です。
- RAMが4GBか3GBか
- ワイヤレス充電の有無
性能にこだわる方はRAMを気にされるかもしれませんが、どのアプリをどの程度使った時にどのくらい差が現れるかが見えづらい部分でもあります。
少なくとも純正のアプリや機能はどちらでも満足に動くはずなので、それ以外のことをどのくらいやるつもりかで考えてみるとよいかもしれません。
またShowモードを使うなら、ワイヤレス充電と専用スタンドはあった方がよいと個人的には思います。
②:Fire HD 10 Plus VS Fire HD 10 Plus エッセンシャルセット
エッセンシャルセットと比較した際のポイントは2つ。
- 専用キーボード付きカバーの有無
- Microsoft 365 Personalの有無
ここでの肝はMicrosoft 365 Personalですね。
インストール台数無制限かつ5台まで同時使用でき、Fireタブレット以外のデバイスでも利用できます。
MS 365 Personalをインストールできるデバイス
- Windows
- MacOS
- Android など
Microsoft 365 Personalは単独価格で約12,000円。
価格的にはほぼ本体+Microsoft 365 Personalと同額で、専用カバーがタダでもらえるのとほぼ同じな構成ということもあり、コスパ的には大変お得です。
一方で前述のとおり、専用キーボード付きカバーの評価は分かれています。
作りがよいという意見も多いですが、いくつかの難点も指摘されています。
- キーボードの配列が独特
- キーの配置(押下時の組み合わせ)が独特
- トラックパッドがなく不便
- 重い(Fireタブレット本体よりも)
個人的にもエッセンシャルセットはMicrosoft 365 Personalでかなり惹かれましたが、キーボードカバーのこともあり、購入を見送りました。
ただしキーボードカバーを除いて考えても金額的にはトントンなので、不評を無視して購入するのもありかもしれません。
またそれぞれ本体カラーのランナップも異なるので、インテリアとの兼ね合いを気にされる方は、そちらから決めてしまうのもありかもですね。
③:Fire HD 10 Plus VS Fire HD 8 Plus
ずいぶん迷うところですが、持ち運んだり使い方の幅を広げたければ8インチの方がよいかと。
ただし性能差はずいぶんあるので、Google Playを入れていろいろやりたいなら、Fire HD 10 Plusにしておいた方が無難でしょう。
両方を持っており、比べられる立場からすると見ると、Fire HD 10 Plusを見た後にFire HD 8 Plusを触るとやや物足りなさを感じるのは正直なところ。
Fire HD 8 Plusもよいデバイスだとは思いますが、やはりディスプレイの大きさとフルHDのきめ細やかさは差として見えてしまいますね。
Fire HD 10 Plusレビューまとめ
以上、Fire HD 10 Plusのレビューでした。
Fire HD 10 Plusを実際に触ってみると、かなりよくできたデバイスだと感じます。
本体の剛性がやや心配など細かく指摘したい部分もありますが、この価格でこの内容であればやはり他の追随を許さないといったところでしょう。
Google Playの利用を考えてもかなりコスパの高いデバイスです。
もちろん素のまま使っても十分Amazonコンテンツを楽しめるので、迷われている方はぜひこの機会に購入を検討されるとよいかと思います。
ぜひ皆様の参考になれば幸いです。