Amazonのタブレット「Fire 7」は、同タブレットシリーズの中で、最小かつ最軽量のモデル。
最近ではほとんど見なくなった7インチという絶妙なサイズ感と、安価で購入しやすい価格が魅力です。
しかし徹底的に割り切られたスペックを見ると、どの程度ちゃんと使えるのか不安な面も。

スペックも低そうだし、せっかく買ったのにダメダメだったら嫌だな…。
そこで本記事では、発売されて以来、Fire 7(2019)を2年近く使ってきた当ブログ管理人が、製品の「実際のところ」についてレビューしてみたいと思います。
Fire 7がいくら安い製品とはいえ、買い物で失敗はしたくないもの。
購入を迷われている方は、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。
- Fire 7 を実際に使ってみてどうだったか
- Fire 7 はどのような人におすすめか
- Fire 7 の製品スペック
なお「Fireタブレットで何ができるのか?」という概要的な事柄については、下記の記事で詳しく紹介しています。
ぜひそちらもあわせてご覧ください。
また当ブログでは、他にもFire HD 10 Plus、Fire HD 8 Plusのレビューも書いています。
どのモデルを購入すべきか迷われている方は、ぜひこちらも参考にしてみてください。
Fire 7 タブレット(2019年モデル)の特徴は?


Fire 7 タブレットの特徴は主に下記の3つ。
- 7インチというコンパクトなディスプレイサイズ
- 音声アシスタント「Alexa」(アレクサ)を搭載
- 画質やShowモード非対応など機能面での制約あり
それぞれ詳しく紹介していきます。
Fireタブレットで最もコンパクトな7インチディスプレイ
Fire 7は7インチディスプレイを搭載した、Fireタブレットシリーズ中、最もコンパクトなモデル。
最近では7インチサイズのタブレットが少なくなったこともあり、逆に新鮮さを感じるサイズ感ですね。
サイズも大型のスマホを一回り大きくした程度で、Fire HD 10、Fire HD 8と比較すると、取り回しの良さは抜群。
他のモデルよりもスペック面で見劣りする点は否めませんが、コンパクトさを最優先にしたい方にとってはうってつけのモデルです。
音声アシスタント「Alexa」(アレクサ)を搭載
Amazonの音声アシスタント「Alexa」(アレクサ)。
音声によるやり取りが可能で、話しかけることでさまざまな命令を実行でき、また会話での応答が可能です。
- 定額制サービスなどを利用して音楽再生が可能
- オーディブル・Kindle本の再生
- 天気やニュースの読み上げ
- タイマーやアラームのセット
- 家電を声でコントロールするスマートホーム(別途機器が必要)
- その他Alexaスキルで実行可能なスキルを追加可能
Fire 7 は2019年モデルではじめてAlexaに対応
2019年に発売されたFireタブレットの新型モデル以降、FireタブレットシリーズでもAlexaの搭載がスタート。
Fire 7では、今回の2019年モデルではじめてAlexaが搭載されました。
これにより、音声でアプリを起動したり音声でウェブ検索をしたりなど、これまではできなかった音声指示をベースにした使い方ができるようになっています。
音声のみで起動できるAlexaハンズフリーも搭載
またFireタブレットに搭載されているAlexaには、「Alexaハンズフリー」という機能が搭載されています。
このAlexaハンズフリーは、音声でAlexaを起動できる機能。
「アレクサ!」と声をかけるだけで、Alexaがスリープ状態から自動で起動してくれます。
つまり、「Alexaに指示を出すためにタブレットを触ってスリープを解除する」などという本末転倒なことを回避できるようになっており、かなり実際の使い方に配慮された機能という印象です。
Alexa搭載デバイス同士で連携が可能
2019年に開始したAmazonデバイスへのAlexaの搭載スタート以降、現在ではKindleを除くほぼ全てのAmazonデバイスにAlexaは搭載されています。
これらのAlexaは連携でき、複数のデバイスの操作を組み合わせることも可能。
帰宅後、コマンド音声一つで全てのAmazonデバイスを起動し、希望の状態にまで移行するなどといった使い方までできます。
部屋の電気をつけ、テレビを起動し、Echoで今日のニュースを読み上げ開始する、といったことが音声コマンド一つでできます。
ディスプレイはSD画質
Fire 7のディスプレイ画質は、1,024×600ピクセルのSD画質。
名前に「HD」が入っていないことからも分かるように、HD画質ではありません。
現代の標準的な感覚からいくと、画質はかなり荒いです。
とはいえ、7インチ程度であればSD画質レベルでもまあまあアリかな……、というのが個人的な感想です。
決してきれいではないですし、見栄えもよくないですが、安くて雑に扱えるのを考えると、まあアリ、といったところ。
ディスプレイの美しさにはこだわりたい方には全く向いていないデバイスです。
Showモードには非対応
「Showモード」とは、FireタブレットをEcho Showのように使用できるモードのこと。
Showモードをオンにすることで、Fireタブレットの待機画面がEcho Showの画面に切り替わります。
Fire 7はFireタブレットシリーズの中で唯一、このShowモードに非対応。
Echo Showシリーズには5.5インチの製品もあるので、製品として競合してしまうという判断かもしれません。
Showモードを使うならワイヤレス機能つきのPlus系がおすすめ
使わない時間は置物と化しがちなFireタブレットにおいて、Showモードはデバイスの稼働率を上げられる有効な機能。
また上位機種の、Fire HD 10、Fire HD 8では、ワイヤレス充電に対応したモデル(Fire HD 10 Plus、Fire HD 8 Plus)も出ており、取り回しの手軽さから、Showモードとの親和性がかなり高くなっています。
ShowモードでEchoのように使いたい方は、他のモデルを優先して検討することをおすすめします。
Fire 7(2019年モデル)のスペック
Fire 7のスペックは下記のとおり。
Fire 7 タブレット | |
---|---|
世代 | 第9世代(2019年発売) |
イメージ | ![]() ![]() |
カラー | ブラック |
価格 | 5,980円(16GB)・7,980円(32GB)円 |
ディスプレイ | 7インチ、IPSディスプレイ、反射防止技術採用 |
解像度 | 解像度1024 × 600(171ppi)、SDビデオ再生 |
OSバージョン(出荷時) | 6.3.0 |
Bluetoothバージョン | 4.1LE |
プロセッサ | 1.3GHz クアッドコア |
RAM | 1GB |
オーディオ | モノラルスピーカー、マイク 3.5 mm ステレオ ジャック |
センサー | アクセロメータ |
マルチタッチ | 5点 |
Alexa搭載 | ◯ |
ストレージ | 16GB・32GB |
microSDカードスロット | 512GBまで対応 |
カメラ | 2メガピクセルフロントカメラ、2メガピクセル HDリアカメラ + 720HDビデオレコーディング |
位置情報サービス | WiFi経由の位置情報サービス(GPSの搭載はなし) |
Wi-Fi | デュアルバンド a/b/g/n(ac未対応) |
バッテリー | 最大7時間 |
充電時間 | 同梱のUSB充電アダプタで約4時間 |
入出力 | USB 2.0ポート(マイクロB コネクタ) |
サイズ | 192 × 115 × 9.6mm |
重量 | 286g |
保証 | 90日間限定保証付き(国内の場合は別売で延長オプションあり) |
他のモデルと比較すると、さすがにFire 7はスペック的に非力な面が否めません。
特にRAMが1GBしかないのが弱いところですね。
プロセッサも一代前のFire HD 8と同等のものが搭載されているとは言え、カクつきが気になる場面はかなり多いです。
とくにFire OSは、従来の6から7へと大型のアップデートがあったこともあり、次第に挙動に厳しさが出てきています。
発売から約2年が経過したモデルであり、かつそもそもスペック的にかなりギリギリという点は考慮にいれておきたいところです。
Fire 7(2019年モデル)の価格
Fire 7の価格についてまず言えるのは、何と言っても圧倒的に安いということ。
16GBモデルは定価5,980円、セール価格だと3千円台で購入できます。
16GB | 32GB | |
---|---|---|
通常価格 | 5,980円 | 7,980円 |
プライムデー割引価格(2021) | 5,980円(割引対象外) | 7,980円(割引対象外) |
初売り(2021) | 3,980円(33%オフ) | 5,980円(25%オフ) |
サイバーマンデー・ブラックフライデー割引価格(2020) | 3,980円(33%オフ) | 5,980円(25%オフ) |


価格的には、完全におもちゃ感覚で買えてしまいます。
そもそもFireタブレットはどのモデルも、スペックからすると異常な安さなのですが、Fire 7はぶち抜いてる感があります。
この価格であれば、少々雑に使用して壊してしまっても全く気になりません。
故障をおそれて家で大事に扱うよりも、ガンガン持ち出して使い倒した方がこのデバイスのよさを発揮できるかと思います。
また安価ではありますが、購入するならAmazonギフト券のチャージタイプを利用すると最大2.5%が還元とかなりお得。


Amazonでの買い物であれば何にでも使えるテクニックなので、ぜひチェックをしてみてください。
Fire 7のスペック(本体・性能)をレビュー
ここからはFire 7の本体画像を見ながら性能面について具体的に解説していきます。
Fire 7の本体・付属品
Fire 7の本体と付属品一式はこちら。


本体のディスプレイはかなりマットに見えるかと思いますが、実際はもっと映り込みます。
映り込みがかなり激しく写真撮影に苦労するので、開封してすぐにディスプレイにアンチグレアフィルムを貼っています。
実際は下記くらい映り込むのでフィルムは必須ですね。


また画像では写ってないですが、背面のロゴデザインなどはFire HD 10と同様です。
Fire 7のサイズと重量
サイズ感はかなりコンパクトです。片手持ちも余裕です。


背面から。


下から見てもかなり余裕があるのがわかります。


Fire HD 8も片手持ちできましたが、Fire 7を触った後に持つと大きさを感じてしまいます。
使ってみると実感しますが、7インチは手に収まるサイズとしては絶妙な大きさです。
重さも気にならないため片手でも余裕で、横持ちでも重くて辛いといった感じはありません。


持ってみると分かりますが、片手での横持ちは手に重さを感じやすい持ち方です。
Fire HD 8でも横持ちでの長時間使用は少々厳しいため、このような使い方をしたい場合はFire 7の方がおすすめかもしれません。
Kindle Paperwhiteと並べてみます。


サイズ的にはほぼ変わりません。
これにFire HD 8を加えてみます。


他のモデルと並べてみます。


こうやって並べてみると、とくにFire HD 10とはかなり大きさが違うのがわかります。
重ねてみます。


厚みはKindleも含めたすべてのモデルで、ほぼ同じです。
処理性能
処理性能を見た場合、気になるのはRAMが1GBという点。
アプリはもちろん基本的な動作でも、気になる場面がかなりあります。
明らかにマルチタスクには向いてないので、一度に沢山のことをしたい、という方は他のモデルをおすすめします。
こちらの記事ではFire HD 10、Fire HD 8 Plusなどとベンチマーク比較をしていますので、ぜひあわせてご覧ください。
スピーカー/オーディオ関連
スピーカーはモノラルで、一つしかありません。


上位モデルはステレオ対応でスピーカーも二つありましたが、Fire 7はバッサリと割り切った仕様です。
側面もこのような具合で、スピーカー穴が片方にしかありません。




正直なところ、Fire 7では本体のスピーカーで音楽を聴くのは厳しいです。
音場にこだわった最新の音楽をモノラルスピーカーで聴いてもさすがに楽しくありません。
Fire 7で音を出すならイヤホンか外付けスピーカーは必須です。
それでも音楽を聴くならAmazon Music Unlimitedで物量で勝負とかそういう使い方でしょうか……。
音楽プレーヤーとしての利用は期待しない方がいいでしょう。
バッテリー容量・稼働時間
スペック表では最大7時間となっていますが、体感的にはバッテリーの減りは異常に早いです。
どうやらAlexaハンズフリーとOn Deckでじりじり削られているような印象です。
「On Deck」とは、プライムビデオの視聴履歴からおすすめの作品を自動でダウンロードしてくれる機能。
いかにも気の利いた機能なのですが、いま一つリコメンドが機械的で、結構な割合で全く興味のない作品を落としてくれます。
あってもあまり役に立たない機能なので、思い切ってオフにするとバッテリーの持ちが多少改善します。
またFire 7は急速充電に対応していません。
今どきの標準的な感覚だと、充電速度は「遅い」です。
他にもスマホやタブレットを並行して使っていると、充電が遅くてわずらわしく感じる瞬間が出てくるかと思います。
フロント・リアカメラ
カメラ性能は、上位モデルのFire HD 10、Fire HD 8と同じです。
とはいえ、これらのモデルもカメラ性能は決して高くないので、実際はQRコード読み込み用といったところでしょう。
Fireタブレットではカメラ機能はコストダウンの対象となっているようです。
内部ストレージ
内蔵ストレージは16GBと32GBから選べます。
どちらを選んでも、後からmicroSDカードで最大512GBまで増設できるので、購入時はとりあえず16GBでOKです。
16GBのSDカードであればAmazonで1,000円以下で買えるので、本体の差額を考えてもこちらの方がお得です。
Fire 7はFire TV Stick経由でテレビへ出力可能
AirReceiverなどのアプリを利用することで、テレビへのミラーリングが簡単にできます。
接続も簡単なので大画面で見たい場合にはおすすめの使い方です。
AirReceiverはAmazonデバイス全般で大活躍するアプリなので購入しておくのがおすすめです。
315円と安い上、複数デバイスで使い回せます。
» Fireタブレットを使ってないならPCのサブディスプレイにするのがオススメです【Mac編】
» Fire TV StickでMacやiPhoneをテレビにミラーリングする方法をご紹介します
Fire 7を購入する際の注意点
GPSは使えずインターネットへの接続はWi-Fiのみ
FireタブレットシリーズはGPS機能がついていません。
そのため、地図アプリなどは使用できません。
また接続もWi-Fiしか使えません。
本体を外へ持ち出して利用する場合は、見たいコンテンツをあらかじめ本体にダウンロードしておくか、ポケットWiFiを用意する必要があります。
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Amazonアプリの品揃えが正直厳しい
Amazonアプリストアのラインナップはともかく充実してません。
たくさんのアプリの中から検索して選ぶといった使い方は期待しない方がよいです。
さすがにTwitterやパズドラなどの超メジャーアプリはありますが、それでも「あのメジャーアプリがない」ということも普通にあります。
またAmazonアプリはラインナップはされているものの、更新が長らく途絶えているようなものも多々あります。
ダウンロードはできても実際には使用できないものもあったりするので注意が必要です。
Google Playは利用できないがインストールは可能
FireタブレットではGoogle Playは利用できません。
しかしGoogleのPlayストアをインストールして、裏技的にAndroidアプリを利用する方法もあったりします。
ただし正規の方法ではないのであくまで「自己責任」です。
» FireタブレットにGoogle Playをインストールする方法を詳しく解説
また、Fire 7は本体性能が微妙なので、Playストアを入れると挙動的に怪しくなります。
このあたりは本体性能の差がもろに出てしまうので、Playストア前提で購入を考えているのであれば、購入するモデルを再考した方がいいかもしれません。
» Fireタブレットのベンチマーク一覧を一挙公開!AnTuTuベンチマーク、Geekbench3で計測
Fire 7はAmazonコインを利用した課金用マシンとして使うのもあり


Amazonアプリは全般的に使えない、という解説をしましたが、例外が「Amazonコイン」を利用する場合。
AmazonコインはAmazonアプリストア内で利用できるバーチャル通貨で、還元率が異常に高いのがポイントです。
還元率は最大で20%以上になることもあり、たとえばゲームで課金する場合に、Amazonコインで課金することでかなりコスパよくガチャを回せます。
ただし
- ゲームがAmazonアプリとして配信されている
- プラットフォーム間でのゲームデータの引き継ぎができる
というのが前提です。
詳しくは下記の記事で解説しています。
Fire 7は購入から30日以内なら延長保証も購入可能
Fireタブレットシリーズは購入から30日以内なら延長保証を購入できます。
延長保証の期間は2年間と3年間のいずれか。
また保証の内容は下記のとおりです。(2020年11月現在)
- メーカー保証期間終了後の自然故障・不具合について、保証期間中に1回に限り無償で代替品に交換(バッテリーの劣化を含む)
- 落下による故障、水濡れなどの偶発事故について、保証期間中に1回に限り無償で代替品に交換
本体の価格が十分安いため、保証をつけるかは微妙なところですね。
ちなみに私は壊れたら買い替えと思っているので、延長保証はつけていません。
まとめ:Fire 7は割り切って楽しめる方向けのガジェット
スペックを中心とした記事のため、Fire 7がいかに非力かを語るような内容になってしまいましたが、かといってFire 7がチープな端末かと言えばそんなことはありません。
わりと外装もしっかりしていますし、セールで3,000円台という価格設定を考えても、仕上げはなかなか丁寧だと感じます。
長い時間さわっていると、急に無反応になってしまったり、また画面の解像度が気になる場面もありますが、やはり安いというのは大きな強みの一つ。
3,000円台でこの製品内容は他のメーカーでは無理ですし、多少の不出来があっても結局はAmazonプライムやサブスク系サービスで帳消しになります。
» Amazonプライムビデオはどんなサービス?メリット・デメリットを紹介
また安いので故障を気にしなくてよいのもいいところ。
その分どんどん持ち出せるのは利点ですね。
僕も出先で動画を見そうな予感が少しでもあれば、動画をダウンロードして裸のままバッグに入れて出掛けています。
やはり軽くてコンパクトだと、多少の不便は関係なく使いますね。
Fire HD 10は画面はきれいでぬるぬる動きますし、使うと納得感はありますが、大きいので触るのが面倒なことがあります。
その点ではFire 7はともかく邪魔にならないので、気付けば漫画やプライムビデオなど、意外とちょこちょこ使っていたりします。
それを考えると、もしかすると本来のFireタブレットのコンセプトに一番近いデバイスなのかもしれません。
またサイズ的にもKindleに近いので、カラー版のKindleとして利用するというのもありだと思います。
» 和書12万冊が読み放題!Kindle Unlimitedのメリット・デメリットを徹底解説【無料体験】
正直なところ、Fireタブレットシリーズの1台目としておすすめするのは少しためらうものがありますが、気軽に触れる2台目としてであれば面白い買い物かと思います。
何と言っても安いのは正義。
気になる方はぜひFire 7を試してみてください。